其の四十三 「日本酒」

最近は良い地酒を揃えているお店も増えたが、20年ほど前までは日本酒といえば、大手メーカーの大量にアルコール添加したお酒がほとんどだった。
それでも中には地酒を揃えている店もあり、地下鉄の東梅田駅の上あたりは、地酒横丁といって地酒を揃えている店が並んでいた。(今でも店はあるが、地酒がそう珍しくなくなったので、地酒横丁もその値打ちが半減やね。まあ地酒を揃えている店が増えたのは良いことなんだが)
で、その20年ほど前、地酒横丁の一角の「呉春」という店で大阪池田の地酒「呉春」を飲み、その旨さに感激した。
地酒の旨さに目覚めたので、地酒の品揃えでは有名だった立売堀の島田酒店を訪れた。
なんと地下に日本酒の貯蔵蔵があり、そこで日本酒の利き酒ができる。それも金山寺味噌などのつまみまである。
で、利き酒をしながら、おっさんが主人に「呉春の旨さに感激した」と話すと、主人いわく「呉春はたいしたことはない。」と言ったかと思うとおもむろに「これが今年日本酒の全国品評会で金賞を受賞した酒です。」と一升瓶から酒をついでくれた。
その味はいまだに舌に残っている。普通の?酒にある舌にさわる刺激もひね香もなく、旨みのある湧き水のごとき味だった。
酒の味は年によって変わり、従って金賞受賞の酒は年によって異なるという話だったが、その年は広島の「賀茂泉」だった。
その後様々な地酒を楽しんだが、やはりおっさんには島田酒店で飲んだ賀茂泉が旨い酒の原点であり、かつ最高峰である。
ちなみに「呉春」は「本醸造」という造りであり、少量ではあるがアルコールを添加している。
賀茂泉をはじめとする「純米酒」(酒は米から造るのだから、これが当たり前なんだがね。)とは一線を画する。