其の六十二 「山の中のイタメシ屋」

  
大阪府泉南郡熊取町の町民グラウンドは山の中にある。
グラウンドの片側にスタンドがあるのだが、眼下のグラウンド以外に目に入る景色は山また山。
スタンドで練習を見ていると緑色の小さな虫が手にとまってチクット刺す。
特に毒はないようで蚊のように赤くなったりかゆくなったりする事はないのだが、少々うっとおしい。
このグラウンドの近くにイタメシ屋シェ・ロコがある。
車が2台すれ違うのも難しいような狭い道沿いにだ。
パスタランチ千円也。
小さなサラダが出てくる。ドレッシングがかけてあるが、深い入れ物なので下の葉にはドレッシングがかからず、上の葉には多めにかかっている。
ミニトマトは甘い。
次にパンとオリーブオイル。
最近このパターンの店があるが、パンにオリーブオイルって美味しい?
動物性脂のバターに比べると植物油であるオリーブオイルの方が軽くて健康にも良いってのはわかるのだが・・。
バターのようなコクがなく、はたしてパンの味をふくらませるって効果もどうなんだろう・・?
次にパスタ。セレクトしたのはホタテ貝のトマトクリームソース。
ホタテは小さく切ってあるが歯ごたえが残っていて、味もある。
トマトクリームソースはトマトの酸味は抑え目に、クリームソースのこってり感も抑え、あっさりとした味に仕上がっている。
仕上げはホットミルクティ。
ということでパスタランチが終了。
正直悪くはない。しかしこの田舎まで客を呼ぶにはやや物足りない。
立地の良い店なら、これで良いだろう。
良い意味で個性が欲しいし、強烈な印象が欲しい。
例えばパスタのホタテ貝をもう少し大胆に大きく切って印象付けるとか。
トマトの酸味もクリームのこくも強く主張する味に仕上げるとか。
個性を抑えるのではなく、強くすることで味にアクセントをつけるのである。
パンはオリーブオイルも良いが、発酵バターもセレクトさせるとか。
サラダは同じものを出すにしても平皿に出し、ドレッシングが満遍なくかかるように配慮するとか。
でも何故この立地なんだろう。
オーナーの実家か何かなのか。まあ選んでここに店を出したわけではないのだろうが。