其の弐百四拾八 「ストライク軒」


天六のストライク軒。中崎一丁の店主が他の店主とコラボで開いたお店。
中崎一丁の店主が開発したラーメンが「シンカー」を注文する。
貝汁ラーメンの中崎一丁の店主らしく、シンカーにも貝が入っている。
味のベースは貝汁であることに変わりはないようだ。
しかし、それに様々な魚介系の出汁と醤油を加えて、味を創る中崎一丁をはじめとする従来のラーメンと違い、シンカーは醤油の影が色にも味にも見えないし、感じられない。
それでいて豊かなコクと旨みがある。
美味しんぼのラーメン戦争であったイノシン酸に味の比重が大きい、いわゆる西洋のスープに近いラーメン、というのを思い出した。
チャーシューは中崎一丁のラーメンと同様で鶏肉を独特の調理法で旨く仕上げている。
麺は最近のラーメンに多いちぢれ麺ではなく、昔の屋台のラーメンのような麺だ。
ややぼそぼそ感がある。
全体として新しい味を創り出しているのが素晴らしい。
なので一度は食べてみる価値はある。
旨さもあるので、リピーターになる者もいるだろう。
ただ美味しんぼでの結論は、日本人はグルタミン酸の味に親しんでいるので、日本人にはグルタミン酸の比重が大きいラーメンの方が受け入れられる、というものだったが、それは言えるのではないか。
麺好きの知人は当然ストライク軒のシンカーも食べていて、美味しいと評価しているが、最も好きなラーメンは、と問うと、洛二神のいわしラーメンと即答する。
魚介ベース+醤油のグルタミン酸たっぷりのラーメンが日本人の舌には合うのだろう。

食後、最近ラーメンを食べ終わった後に感じることをやはり感じた。
一食のメニューとして物足りないなあ・・という感じである。
量的なことではない。おなかはふくれる。
ただ、一食として考えた場合、野菜の量が少ない。
基本、麺とスープとチャーシューとネギ。煮卵をトッピングしたり、海苔がついていたりもするが・・。
これでシンカーだと830円。煮卵をつけたので930円。
スープに工夫をしているから・・なのかもしれないが・・。
コックが台湾人の中華料理の大東洋ではラーメンはなくてタンメンだ。
タンメンにはたっぷりの野菜が入っている。
またポピュラーなちゃんぽんもたっぷりの野菜が入っている。
タンメンは500円だ。ちゃんぽんも800円くらいで食べられる。
また800円も出せば、酢豚や八宝菜定食も食べられる。

ラーメンだけに感じることではない。
例えば女子に人気のパスタ。
ランチだと野菜サラダやスープやパンがついていることが多い。
しかしこれだとタンパク質が足りない。
パスタにパン・・どちらも炭水化物だ。
うどん定食、やきそば定食、お好み焼き定食も炭水化物の比重が高い。
これらも定番の人気メニューだから、炭水化物の比重が高いメニューに抵抗感はないのだろう。
それゆえにラーメンも人気だし、讃岐うどんも人気だし、知人のような麺好き人間も存在するのだろう。