其の三十二 「大食漢時代」

大学でバスケットボールをしていた頃が人生で最も大食漢だった。
合宿では仲間の残したおかずを集めておひつを横に置いて食べた。
下宿の夕飯を食べてもすぐにお腹がすき、お金もなかったので、インスタントラーメンと食パンを買い、まずラーメンを食べてその汁に食パンをつけて一斤食べた。
味よりもとにかく量が必要だった。
当時大学近くのお好み焼き屋で、肉と魚介類がたっぷりと入ったボリューム満天のお好み焼きがあった。
話題づくりのためだったのだろうが、このお好み焼きを2人で8枚30分以内で食べると賞金がもらえて店に名前の書いた色紙が飾られる、ということであった。
これにバスケ部の友人と2人でチャレンジし、賞金をゲットした。
友人が3枚、おっさんが5枚食べた。
美味しいお好み焼きを5枚も食べて、賞金までもらえて、幸せだった。
8枚が鉄板に焼かれた時は、その時店にいた客から歓声が上がった。
当時おっさんは群馬県にいたが、隣の長野県の大学にいた友人がわざわざ車で迎えに来て、「自分がお金をだすから、まだ食べた人を見たことがないという超ビッグなわらじとんかつ定食を長野の友人の前で食べて欲しい」と言った。
リクエストにお応えして、定食のどんぶり御飯を三杯おかわりしてたいらげた。
「御飯のおかわりは無料のはずなのに、一杯分とられた。」と後で友人がつぶやいていた。
とんかつの味も良く、ボリュームもあり、お腹一杯食べられ、大変満足だった。