其の五十五 「経緯0度の都 ロンドンからドーバー海峡の港町カレーへ」

最初の海外はイギリスのロンドンだった。
大英博物館はとにかく広い。
有名なミイラに「ほほお、これかあ。日本画のコーナーに・・へえ日本画も世界的に有名なんや、と認識を新たにした。
ロンドンブリッジってこれか。
ロンドン塔、世界最大のダイアモンドの前では写真はもちろん立ち止まるのも駄目。
で、食べもんは・・パブでおつまみっぽいのものやサンドイッチ。
電車で南へ向かい、カンタベリー寺院に。でかいなあ。
さて、夜行列車でパリに向かうか、と列車に乗ったのはいいのだが・・・。
ドーバー海峡を海底トンネルで渡り、フランスへ上陸!
と、ここまではよかったのだが、「この列車はここまでです。皆さん降りてください」
「え?ここどこ?パリと違うやろ?」
そう、ここはドーバー海峡沿いの港町カレー。
どうやら乗る列車を間違えたようであった。
乗り継ぎ列車もない夜更けの時間に、予備知識もまるでなく、ガイドブックにも載っていない町にポツリ。
初めての海外の二夜目に大きなトラブル。
駅周辺には何もないので、遠くに見える町明かりの方に歩いていく。
町に入ると飲み屋のようなお店が開いており、酔っ払いをはじめとする人達で、そこそこ賑わっていた。
小さなホテルらしき建物に入って、片言の英語で部屋はあるかと尋ねる・・が、どうも通じない。
そうここは誇り高きフランスなのだ。
「英語なんて田舎の言葉なんか話せるか。美しいフランス語を話しなさい。」ということなのだろう。
ボディランゲージも駆使するが、わけのわからん人間を泊めたくないのか、どこにいっても首を横に振られるだけ。
町をさまよい歩いていると、前に同じようにバックパックを担いだ男が見えた。
話しかけると少し英語が通じる。
片言なのでよくわからないが、とにかくこの時間にバックパックを担いで歩いているということは同じ境遇ということだ。
一緒にあるくことにする。
すると目の前を警察の車が(荷台に鉄格子のようなものが着いていたし、とにかく警察の車だということがわかった)通った。
「とまれ!」と日本語で叫ぶ、彼も「〇△!」とドイツ語で叫ぶ。
言葉の意味が通じたのではなく、おかしな二人が大声を上げたからだろう、車は止まった。
そして我々二人は、護送車?に乗った。到着したところは若者向きの宿だった。
こうして最初で最大の危機?を乗り越え、翌日は列車でパリへ向かった。