其の七 「記憶に残る味 ①カレー」

もう15年も前になるだろうか。心斎橋の日航ホテルに「ザ・プーハウス」というカレーの店があった。
当時ホテル以外のフランス料理店で大阪最高の評価を受けていたビストロヴァンサンクが出したカレー店ということで話題になっていた。
コースで4千円もしたが、その味は、未だに記憶に残る味だった。
幼かった長男を連れて、長男もお気に入りで、成人した今も「プーハウスのカレー、美味しかったなあ。」と彼の記憶にも残っている。
子供にも食べる事ができた優しく、こくがあり旨みのある味だった。
その後様々なカレーを食べたが、少なくとも国内ではあの味と食後の満足感を上回るカレーには出会っていない。

カレーというのは本当にバリエーション豊かな料理で、ようするにインド料理など香辛料を調合して味付けをしたものはカレーの仲間といえる。
というか本場インドではもともとはカレーとは呼称されておらず、日本ではそのように呼称されているだけなのだが。
最近はインドやインドネシアの料理も日本でポピュラーになり、カレー以外の名称で呼ばれる料理も随分増えてきた。
おっさんは以前インドとマレーシアに3ヶ月間程度づつ滞在し、その間いわゆるカレー料理を毎日食べていたが、日本でいうカレーに近いような形状のものから、そうではないものまで様々だった。
日本のカレーの形状に近いものの比較で言うとインドのデリーなどのカレーはヨーグルトが入っていて、マレーシアのそれにはココナッツミルクが入っていた。
どちらも美味しかったが、20年ほど前にマレーシアのスレンバンという地方都市で食べたカレーの記憶が美味の感動とともに残っている。